スチール加工会社様の製品加工チームでは、多くの5Sカイゼンに取り組まれていますが、
「思案中」でずっと残っていたカイゼンネタがありました。
このなかなか進まなかったカイゼンネタについてQC問題解決ステップを活用し、
全員で意見を出し合い、役割を担い合って活動された素晴らしい事例がありますのでご紹介します。
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製品加工チームでなかなか進まなかったカイゼンネタは「パットカスの飛散」でした。
パットとは鋼板を上下から挟み込んでテンション装置で張力を与えるもので、
パットカスとは、パット清掃する段階でパットが擦れて生じるカスです。
このパットカスが、清掃台の周りに飛散するために
・足を滑らすヒヤリハットが発生している。
・油を含んでいる為、発火の恐れがある。
・通路からの見栄えが悪い。
などがありました。
そこで、この機会にQC問題解決ステップを活用して解決を試みました。
テーマは
「パットカスの飛散ゼロ化」です。
現状は、
清掃担当や清掃時間の取り決めはなく、
1日2分ほど床面の清掃をしているもののパットカスは常に床面に散乱している状況でした。
目標は、
「テンションパット清掃時のパットカス飛散ゼロ/ 床面清掃時間半減」に決まりました。
次に、なぜ?パットカスが飛散するのか?」
ポストイットを使い、意見出しをして、特性要因図のかたちにまとめました。
すると
【人の要因】
・清掃時間が決まっていない
・担当者が決まっていない
【材料の要因】
・パットから出るカスが多い
・材質が柔らかい
【方法の要因】
・ブラシで清掃するから
などが出されました。
これらの要因の中で
「自分達で取り組めて」「飛散の原因」である
・台に囲いがない
・カスの集積場所がない
を重要な要因として特定しました。
さて、要因が絞り込まれると、対策立案に入ります。
対策立案のポイントは
「皆で」「複数の案」を出し合い、
「より良い案」を考え出すことです。
「台に囲いをつけて」「カスが集積する」
パット台の案を皆で出し合いました。
パット台を作る前に、まず囲いをつけて検証してみました。
すると「エッジ部が危険」「落ちたカスの行き場がない」
など複数の問題があがりました。
そこで、それらを改善し、皆の案をもとにパット台作成しました。
このパット台を使用した結果、パットカスは床に落ちず、溜まったカスは、
治具で押し出すだけで回収できるため
清掃時間も1日15秒だけ(1/8)に減り、飛散もゼロになりました。
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この結果はもちろん素晴らしいのですが、それ以上に、要因を「皆で」出し合い、
対策案も「皆で」出し合い、現場検証も「皆で」行ったプロセスに価値があります。
現場の「意識」「連携」「自分達で考えて問題解決する力」の向上につながりました。